今回は、トップグレードに敢えて4本出しマフラーを採用しないメーカーをウォッチングです。まずは、アウディから。
アウディのグレードはざっくりと、ベースグレードのA、ハイパフォーマンスのS、さらにその上のRSへと別れています。
ベースグレードのAはW12気筒であっても
二本出しで、Sではハイパフォーマンスを
わかりやすく伝える
四本出しへと増え、さらにRSとなると
野太い二本出しに落ち着きます。
これはフラッグシップであるR8でも同様で、R8のベースグレードである
V8モデルには
4本出しが採用されていますが、さらに上の
V10モデルとなると
二本出しへと
減ってしまいます。
ただ、マフラーの本数は減っているものの、
より強いパワーを感じさせてくれるので、イメージ戦略、ブランディングというのは面白いものだと思います。
かつて私が抱いていたような「4本出しといえば一番上のグレード!」という思い込みをフックにした、上手い戦略に思えます。
同様なことは、マセラティにも当てはまります。
ベースグレードの
グラントゥーリズモや
クアトロポルテは4本出しですが、上位グレードの
Sや
GTSとなると2本出しへと変わります。こちらもやはり、本数は減っても上位グレードであることを感じさせてくれます。
マセラティの場合は特にわかりやすのですが、ベースグレードと違って上位グレードではマフラーサウンドが何と言えばいいのか、「硬い」印象を受けます。「硬質」と言えば良いのでしょうか。私はレーシングマシンを間近で見たことも聞いたこともないのでテレビ音声を頼りに推測するしかないのですが、このような音を「レーシー」と表現したほうが良いのかもしれません。
もちろん、4本出しより上のグレードに二本出しを設定するのはこれらのメーカーだけではありません。
アルピナの4本出しB3は、トップグレードになると
GT3の二本出しへと戻っていますし、フェラーリも4本出しの
F430がより高性能にきわまると、
二本出しの430スクーデリアとなります。
ただ、上記の会社、特にアウディほど全社的に徹底した戦略とはなっていません。
さて、アウディやマセラティのマフラーがそれぞれ逆のパターン、つまり、トップグレードが4本でトップグレードの一歩手前が二本だった場合はどういう印象になるのでしょうか。
Aは二本出し、Sも野太くも二本出し、RSが四本出し…(想像中)…何かを失っている印象があります。
そして、クアトロポルテやグラントゥーリズモのベースグレードが二本出しで、GTSやSが四本だった場合…(想像中)…やはり何かを損ねているようです。
四本より上のトップグレードに二本出しを据えることを、無いものを有るかのように見せる戦略とは思えません。しかし、ハイパフォーマンスが二本のままでその上のトップグレードを四本にしてしまうと、これは有るものを無いかのように見せてしまう戦略にも思えてしまいます。
さらにしかし、BMWの二本出し直6、二本出しV8、四本出しMのV8という分け方が何かを損ねているかと考えると、こちらはこちらでそうでもないなと思えてしまいます。次期X5のV8が450馬力なのに相変わらず二本出しのままなのは驚きましたが、それだけMが特別ということなのでしょうか。
一つのモデルにディーゼル、ガソリン、二駆、四駆、しかも排気量違いという多展開時代になると、マフラーだけ見てまとめるのも想像の壁に当たってしまいますので、また新たな想像の地を探しつつ、今回はこの辺で。
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