車検時にLED型の発炎筒(非常信号灯)が補充されました。
車検直前に高速道路でお役ご免となった従来型発炎筒の後釜となります。
そこで素朴な疑問が浮かんだのですが、車に備えておくべき発炎筒はLED型と従来型(火薬型)のどちらが良いのでしょうか。
どちらも
カー用品店で販売されているように、車検対応の国土交通省保安基準適合品です。どちらでも問題はないはずですが、違いも気になるところです。
比較の経緯
三月の車検時に担当の方から整備項目の説明をいただいていた際、新しい発炎筒がLED型になることを告げられました。
私「今度はもっと遠くへぶん投げてみせます」
担「投げちゃ駄目です」
私「えっ!?」
担「投げると壊れるかもしれませんので、そっと地面に転がすかボディにくっつけてください」
大体このようなやり取りでしたが、LED型は投げられないことに驚きました。発炎筒は後方へ投げるものだと考えていたからです。
正規ディーラーで採用されるくらいなので問題はないはずですが、従来型との違いは小さくなさそうです。まず、両タイプのメリット・デメリットを整理しておきます。
LED型と火薬型のメリット・デメリット
双方の細かなメリット・デメリットを挙げればキリがないのですが、実際に火薬型を使ってみて、無視できないと感じたものは次の通りです。
メリット | デメリット | |
LED型 | ・長時間点灯可能 ・真っ暗闇の中、手探りで片手でも発光させられる ・車内でも使える |
・投げられない ・非常信号としてのインパクトが弱め ・快晴時だと視認されにくい |
火薬型 | ・投げられる ・停止車両しか想定させない火しぶき |
・発光時間が短い ・真っ暗闇では着火に手間取る |
以上のメリット・デメリットの中から、特に重要だと思われる機能で比較していきます。
投げられるというメリット
まず、投げられるか否かの違いはとても大きいと考えています。
実際に真っ暗な高速道路上で事故に遭って路肩上で停止した身としては、いつ追突されたり引っかけられたりしないかと気が気ではありませんでした。路肩でハザード程度ではとても安心できません。走行中であれば走行車線の時速80km、90km程度は遅く感じますが、停車してしまうとやはり90km/hに届かないであろう走行車線のトラックですら、とても速かったです。
そのため、後続車両には可能な限り早い段階で気付いて欲しく、発炎筒は思いっきり後方へ投げました。以降、後続車両は後方に転がっている発炎筒の随分と手前から避けてくれるようになりました。投げる前と後で安心感が全く違います。
一方、LED型発炎筒の使用上の注意には、
「強い衝撃を与えないでください」と書かれてあります。LED発炎筒はいわば照明器具の一種なので、無理からぬことです。
この注意書きを無視して投げて壊れて何も発光しないとなると命にも関わってきますので、本当に注意が必要です。
停止車両しか想定させない火しぶき
もしLED型発炎筒に対衝撃性が加わり、思い切り投げることが可能になったとすればどうでしょう。火薬型とLED型が同じ位置に転がっていた場合、後続車両に非常信号として同じメッセージが伝わるでしょうか。おそらく、火薬型ほどの緊急性は伝わらないはずです。
火薬型発炎筒は、たとえ快晴時でもあっても
目をつんざく独特の火しぶきで、停止車両の存在を視覚に直接訴えかけてくれます。火薬型発炎筒の歴史の長さを考えれば、あの火しぶきを見たほとんどの人が「あ、事故だ」と警戒してくれることでしょう。事故や故障車以外の選択肢が頭を過ぎってしまうことはないはずです。
これがLED型の場合ですと、視界に入っても
よくあるダミーの赤色灯や、あるいは路肩でぽつんと停車しているパトカーの可能性が頭を過ぎり、火薬型ほどの緊張感には至らないかもしれません。
私自身もまだ路上でLED発炎筒が転がっている場面に遭遇したことはありませんが、LED型発炎筒がどのように発光するのかを知らない人もいるのではないでしょうか。
部屋で発光させた様子を撮りましたので、できるだけ画面から離れてご覧いただければと思います。
本来は停止車両の存在を告げるはずの非常信号が、そうではない可能性も含んで受け取られてしまうと、後続車両の判断が遅れてしまう可能性もあります。
おそらく、どれほど明るいLED型であっても、「時速0kmの車両がもうすぐ現れる」という、実際の火薬燃焼から発せられるメッセージには及ばないのではないでしょうか。
停止車両しか想定させない火薬の火しぶき、そしてその認知度の高さは大きな強みと言えます。
点灯(燃焼)時間の長短
まるで良いことずくめな従来型発炎筒ですが、燃焼時間が短いのがネックになります。LED型は20時間も発光可能ですから、5分程度で終わってしまう従来型とは比較になりません。その5分間で三角表示板など必要な措置を全て講じられれば良いのですが、事故慣れした人でもない限り、そう簡単にはいかないことでしょう。
私は本当に運良くすぐにパトカーが到着してくれましたが、もし火薬が尽きてしまって三角表示板とハザードランプだけが頼りとなってしまっていたなら、非常に心許ない気分になっていたはずです。もしパトカーの到着がもっと遅かったなら、今ごろ「LED型があれば」というニュアンスを強く出していたかもしれません。
火薬型であの火しぶきを30分くらい維持してくれれば発炎筒に求められる役割はパーフェクトにこなせそうですが、まだそのようなスーパー火薬はないようです。
結局どちらが良いのか
私は現在、LED型と火薬型の両方を備えています。結局はそれぞれに一長一短なので、万が一また事故に遭ったなら、まずは素早く火薬型を後方に投げ、それからLED型を点灯させようと考えています。
発炎筒を二本も積むのは過剰かもしれませんが、たとえばタクシーなどプロの方々は火薬型を
二本用意していたりするので、LED型と火薬型の二段構えでもやり過ぎではないでしょう。
発炎筒を一つしか積んではいけないという決まりもないので、皆さんもお二ついかがでしょうか。
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