すぐに買う気もないのに車が好きで毎日のように中古車サイトをチェックしている方は少なくないことでしょう。
路上では滅多に見れない車が売り出されるとつい前のめりにチェックしてしまいますし、自分の愛車と同じ車種で随分と変わった姿をしている個体が売り出されると、やはりねめ回すように見てしまいます。何か可能性を感じるからです。
そこで、日本を代表する2大中古車サイトを比較してみることにしました。
グーネットとカービューです。
ネットで中古車を探したことがあってグーネットを知らない人はほとんどいないはずですが、みんカラで知名度があるカービューについては少し説明が必要かもしれません。中古車サイトとしてのカービューとは、要するにヤフー自動車のことです。
そしてそのヤフー自動車は、カーセンサーの持つ国内最大級のデータを利用してカーセンサーよりも使いやすいインターフェイスで情報提供している中古車サイトです。同じデータならカーセンサーと同じサイトと見る向きもあるかもしれませんが、使い勝手がカーセンサーとは異なっており、中古車サイトとしては別物となっています。
カービューは2013年6月にそのヤフー自動車と統合し、以降はヤフー自動車ではなくカービューの名称で運営されています。現在、カービュー株式会社はヤフーの完全子会社となっていますので、まさに一心同体と言えるでしょう。
私が車に関心を持ち始めた頃は中古車探しではグーネットばかりをチェックしていましたが、ある時期からヤフー自動車(現カービュー)しか見なくなりました。そのあたりの経緯にも触れつつ、比較していきます。
掲載台数
まず、掲載台数については互角と言って差し支えありません。どちらも常時30万台以上は掲載されており、グーネットとカービュー双方に出している中古車屋さん、ディーラーも珍しくありません。
ただ、掲載している総台数は互角ながらも、高価格帯の車両については全体的にカービューのほうが充実しています。
たとえば、グーネットにSLRマクラーレンが
4台売り出されているとき、カービューを見れば
14台の掲載が確認できます。
あるいは、BMWのi8がグーネットに
1台しか出ていない一方で、カービューを見れば
11台も売り出されています。
総台数自体は同等であっても、高価格帯の車両はカービューのほうが充実傾向にあります。
グーネットのA面とB面
次に使いやすさを比較していきたいのですが、その前に、グーネットのA面とB面について簡単に説明します。
グーネットで車両検索する場合、メーカー・ブランドから検索していくほうを
私はA面と呼んでおり、トップページの検索窓から検索するほうを
B面と呼んでいます。
カービューの場合はどのように検索しても検索結果画面は同じ仕様なのですが、グーネットについては後述するように、検索の入口が異なると、それぞれに使い勝手の違う全く別仕様の検索結果領域までをも用意しているので、それぞれA面B面と分けて呼ぶようにしています。
使いやすさ~モデルチェンジごとの検索編~
さて、中古車の検索しやすさという点ですが、まず、モデルチェンジごとの検索を考えます。ここではカービューに軍配が上がります。
たとえば、日産スカイラインのR32型GT-Rを探す場合、カービューでは
のように、モデルチェンジごとに整理されていますので、R32型は簡単に検索できます。
さらに、その中でマイナーチェンジごとに分けて見ていきたい場合には、
マイナーチェンジごとの絞り込み検索もできます。これは非常に便利です。
一方、グーネットA面でR32型GT-Rを探そうとすると、
とても安楽に辿り着けそうもありません。歴代スカイラインGT-Rの中で、R32のグレード名だけを自力でピックアップしないといけません。
R32型GT-Rは1989年から1994年の車だからといって、その年式で絞り込んだとしても当然、前後がやや不正確となります。1989年1月1日から1994年12月31日まで、一日違わずR32だけが販売されたわけでもないからです。
また、初年度登録の年が年式として扱われたりもするので、1989年から1994年で絞り込んでしまうとR33が紛れ込むかもしれませんし、R32が漏れるかもしれません。
実際、R32型で1995年式もありますし、1996年式すらあります。
それではと、グーネットB面からキーワード検索で「R32」あるいは「BNR32」と入力した場合でも、R32型GT-Rを全てヒットさせることはできません。車両説明にいちいち「R32」や「BNR32」と記入していない店舗もあるからです。
グーネットに出ているスカイラインの中から、R32型スカイラインGT-Rだけを漏れなく一発で検索できる方はいるのでしょうか。
お目当ての中古車を探す場合、マイチェン前モデルとマイチェンモデルとで比較する方も少なくないはずです。モデルチェンジごとの検索可否は、決して小さくないポイントです。この点、カービューは実に使いやすいです。
使いやすさ~メーカー地域選択という一手間~
次に、地域選択を考えます。あくまで私本位の使用感ですが、ほとんど使わない「地域絞り込み」というワンステップが、グーネットA面ではほぼ強制的にさし込まれるので不便に感じます。
たとえば、マツダの全車両を価格の高い順に並べて閲覧したい場合、グーネットA面のほうでは
この地域選択画面が強制的にさし込まれる上に、メーカー車両全体を見る場合にはワンクリックで「全国」を選択できないので、北海道から沖縄まで一つ一つチェック欄を埋めていかなければなりません。結果的に、一手間ではなく十手間くらいかかってしまいます。
メーカー全体ではなくモデルだけの場合であれば、ワンクリックで
全国を選択できますが、やはりこの「地域選択」という画面が出る一手間が私にはもどかしく感じます。
今、フェラーリの全モデルの中から右ハンドル車両を年式の新しい順に並べるとします。
カービューの場合は
1.メーカー名「フェラーリ」をクリック
2.「全ての車種を見る」をクリック
3.「さらに詳しい条件を指定する」をクリック
4.ハンドルタイプ「右ハンドル」を選択
5.「この条件で検索」をクリック
6.年式「新」をクリック
の6ステップで検索できます。これで
15台の右ハンドルフェラーリが年式の新しい順にソートされます。
次に、グーネットA面でフェラーリ全モデルの中から右ハンドル車両を年式の新しい順に並べてみます。
A面の場合は、
1.メーカー名「フェラーリ」をクリック
2.「フェラーリのすべての中古車を見る」をクリック
3.「北海道」を選択
4.「東北」を選択
5.「甲信越」を選択
6.「北陸」を選択
7.「関東」を選択
8.「東海」を選択
9.「関西」を選択
10.「中国」を選択
11.「九州」を選択
12.「チェックした地域で中古車を絞り込む」をクリック
13.「もっと詳細な条件で絞り込む」をクリック
14.ハンドル「右ハンドル」を選択
15.「この条件で検索」をクリック
16.年式「▲新」をクリック
の16ステップが必要になります。これで3台の右ハンドルフェラーリが年式の新しい順にソートされます。
次に、B面の場合は、
1.トップの検索窓に何も入力せず「検索」をクリック
2.メーカー「フェラーリ」クリック
3.「右ハンドル」クリック
4.年式「▼」クリック
となります。ステップ自体は凄く少なく、これでグーネットA面と同じく3台の右ハンドルフェラーリを年式の新しい順にソートできるのですが、このB面の検索画面はいかにも簡易検索というレイアウトで使いづらいのです。何より、検索結果画面を比べても、
A面は万人に見やすい結果画面ですが、
B面はやや臨時の画面という具合です。B面はどうも頼りない印象が拭えません。カービューの場合はどのようなルートで検索しても検索結果画面のデザインは見やすく全てA面で統一されています。
また、B面で何より面倒に感じるのは、最初の
1.トップの検索窓に何も入力せず「検索」をクリック
の検索窓に、そのときどきの旬のワードである
「キャンピングカー」などが勝手に入力されているので、それをいちいち手動で削除しないといけません。
また、B面ではメーカーその他諸条件を選択する左側のインターフェースが画面をはみ出すほど縦長で、下までスクロールさせるのも手間がかかります。
A面とB面で比較するなら、たとえ地域選択の一手間があっても、操作しやすい画面レイアウトのA面のほうがまだ使いやすいです。
検索結果画面の個別車両情報から回流できるページもA面ばかりなので、グーネットとしてもこのA面を主役と考えているはずです。
そして話は地域選択に戻るのですが、確かに、購入後のメンテナンスや、「こんなはずでは!」という最悪の事態を考えれば、住んでいる地域から近いほど安心感はあります。
ただ、私自身がグーネットで見つけた車を購入しているのでまだ記憶にあるのですが、地域については常に後回しの条件でした。まず、地域は無視して一通りどのような車が出ているのかを確認し、何となく気になる車両があればついでに地域も確認する、程度でした。遠方であっても同資本の店舗が他にあるなら取り寄せてもらおうと考えていましたし、大体の場合、遠方納車にも応じている店舗です。
中古車を探す場合、まず地域ありきで検索する人がどれくらいいるかはわかりませんが、グーネットがこれだけ地域選択重視な理由が気になるところです。
使いやすさ~条件検索の保存~
そして、使いやすさで三つ目のポイントになるのは、条件検索の保存です。これは、一度実行した条件検索の結果をお気に入りに登録し、次からダイレクトにアクセスできるかどうかという問題です。
先ほど上で
「フェラーリ全モデルの中から右ハンドル車両を年式の新しい順に並べる」
という条件検索を行いました。
カービューの場合は、
をお気に入りに加えておけば、次回からはここにアクセスするだけで確認できます。
グーネットA面の場合には、これができません。GETメソッドで条件検索のURLを個別に吐き出すカービューとは違い、グーネットのA面ではJavaScriptで処理してしまうため、A面でどう検索しても、表示URLは
http://www.goo-net.com/php/search/summary.php
になってしまいます。これをお気に入りに入れても意味がありません。
そのため、A面から
「フェラーリ全モデルの中から右ハンドル車両を年式の新しい順に並べる」
を再度行う場合には、また上記の16ステップを踏む必要があります。
グーネットB面の場合は、カービューと同じくGETメソッドのため、
へアクセスすればすぐに確認できます。
しかし、上記の通り文字も画像も小さくレイアウトも簡易的なB面はあくまで別ルートという印象が拭えません。
ちなみに、なぜこの検索結果画面をお気に入りに加えられるかなんて気にする必要があるのか、訝しく思った方もいらっしゃるかもしれません。理由は一括チェックにあります。
このような検索結果画面をお気に入りに入れてブラウザの「自動車検索」フォルダでも作って詰め込んでおけば、次回からはその「フォルダ内の全てのURLをタブで開く」ことで、数十の車両検索を数十秒でチェックし終えることができます。
私が大体二、三日に一度は一括で開いてチェックしているURLは40ほどありますが、変化がないものはさっさとタブを閉じていくので、全部見終えるのにいつも大体数十秒ほどしかかかりません。
グーネットは以前はA面でもこれができていたのですが、仕様変更が何度も続き、そのたびにお気に入りに入れていたURLがリセットされて使えなくなりました。
たとえば、レンジローバースポーツを年式の新しい順に並べたURLは、三年前のグーネットA面では
http://www.goo-net.com/usedcar/LAND_ROVER__RANGE_ROVER_SPORT/summary_price_desc.html
へアクセスすればOKでした。しかし、現在ここへアクセスすると、
http://www.goo-net.com/usedcar/LAND_ROVER__RANGE_ROVER_SPORT/index.html
へ転送されてしまいます。これは何の並べ替えも行われていないレンジローバースポーツ一覧です。
しかも、グーネットはついには各種ソートをJavaScriptで処理するようになったためにお気に入りに加える意味もなくなり、日々の検索チェックでグーネットを使うのを止めてしまいました。
一方、まだカービューと提携していなかった時代の三年前のヤフー自動車のURLは、大幅な仕様変更を経てカービューと統合された現在でも問題なく使えます。
先ほどと同じように、レンジローバースポーツを年式の新しい順に並べた三年前のURLは
http://ucar.autos.yahoo.co.jp/model/landrover/rangerover-sport/?sort=ModelYear&sort_order=-1
でした。どうぞアクセスしてみてください。自動的に
http://ucar.carview.yahoo.co.jp/model/landrover/rangerover-sport/?sort=ModelYear&sort_order=-1
現在の仕様へとリダイレクトされるので、三年前のお気に入りであろうが仕様変更を何度繰り返そうが、現在でも何も変わらずに機能していることがご確認いただけるかと思います。
ヤフーはさすが検索エンジンを生業にする会社だけあって、このような地味な利便性を決して粗末に扱いません。
中古車を本気で探し始めた人は、一回しか探さないということはありません。連日のように同じ条件で検索を繰り替えすはずです。グーネットだとその都度同じ条件を手打ちで入力する必要が生じて不便ですが、ヤフーのほうは次からはお気に入りを開くだけで検索結果が確認できます。この差は大きいです。
ヤフーは三年前から大小問わず仕様変更を繰り返していますが、保存した条件検索が無駄にならないので安心してカスタマイズ検索を増やしていけます。ひょっとすると三年以上前のURLを今でもお気に入りに入れたままで、URLが変更されていることに気づいていない人もいるのではないでしょうか。
使いやすさ~豊富な条件検索~
ここまで読まれた方は、「グーネットって使いづらいんだな」と思われたかもしれません。しかし、車両のオプション条件検索の豊富さで比較すると、圧倒的にグーネットが優位です。
たとえば、BMWの3シリーズでアイドリングストップとオートクルーズが備わっている車両を探すとします。
グーネットはA面から入り、
このように条件検索でアイドリングストップとオートクルーズをチェックすれば検索できます。
一方、カービューの場合には、
アイドリングストップもオートクルーズも条件に存在していません。そもそも、設定できる条件が非常に少ないです。
BMWのオートクルーズはACCと略されるので、「オートクルーズ」でキーワード検索してもかなりの数が検索から漏れることになります。といって、ACCで検索しても、ACCを車両説明に記載してない場合にはやはり漏れてしまいます。
オプションや仕様の複数条件で細かく検索したい場合には、グーネットのほうが断然使いやすくなっています。
使いやすさ~カタログ閲覧~
次に、オンラインカタログの利便性を見ていきます。
グーネットのカタログページは非常に見やすく、カタログを探しているユーザーに対して必要十分な情報だけが提示されていて、直感的に目的地まで辿り着けるようになっています。
一方、カービューのカタログページは、カタログページに入ってからもカタログ以外のコンテンツへ意図的に視線を反らせようとする情報が多く混ざっており、率直に言って見づらいです。
たとえば、カービューサイト内からカタログ情報ページとして誘導されたページなのに、メインコンテンツのような位置で
一括査定サイトへの誘導が陣取っており、カタログページなのにカタログ情報がページ下部へと押しやられてしまっています。
グーネットの場合、
余計な情報は何もなく、本当に見やすいカタログを提供してくれています。
また、以前からとても気になっているのですが、カービューのカタログは最大トルク表記が間違っています。
たとえば、BMWのX5のディーゼルの場合、正しい最大トルクはグーネットにある通り、
「1500-3000rpm」の回転域で幅広く発揮されます。
カービューの場合、なぜか
上限の回転数しか表示されません。
最大トルクを発揮する回転数が「1500-3000rpm」と「3000rpm」とではまったく意味が違ってきます。
しかも、カービューではX5に限らず全てのモデルで上限回転数しか表記されていません。カービューがカタログを軽視しているということでもないのでしょうけれど、ディーゼルに限らず1000回転台から幅広く最大トルクを発揮する最近のエンジン特性が無視されているようで、少し残念な表記に思います。
ということで、車両のカタログを確認する場合、私はまずグーネットを開きます。
さいごに
以上のように、一長一短の両サイトですが、それでも毎日のように同じ条件で検索したい私としては、カービューばかりを使ってしまいます。カタログだけがグーネットです。
グーネットで縁があって購入した車に乗っている身としてはグーネットの進化を期待したいところでもありますが、さて、今日はどんなおもしろ車が売り出されているでしょうか。
たいへん参考になりました。
私も今のクルマはGoo-netで購入したので
Goo-netには頑張ってもらいたいところです。
特にB面はキーワードで絞り込みができるので便利なのですが
見え方が一世代前なのでリニューアルに期待したいところです。
コメントありがとうございます!
現在まさに次の車探し中でして、
台数が少ないモデルも候補なのでディーラーの方に探してもらっている一方で、
私は中古車サイトをチェックし続ける日々です。
そのチェックページにグーネットは数ページしかなく、寂しい感じがしています。
ただ、グーネットのほうは「NEW」の新着表示で
新着車両がすぐにわかるので(これ記事では書いてないですね)、
この新着分にまた未来の愛車があるのではという予感がしています!
といっても、カービューはこの二ヶ月くらいでデザイン変更を試みており、
さらにテストパターンなのかいつものチェックページに時おり新着表示有りパターンが登場したりするので、
微に入り細を穿つ姿勢はさすがだなと思ってしまいます。