BMWのM1です。
こちらは栃木県にある魔方陣スーパーカーミュージアムで撮影した一台となります。
BMWの市販車両で唯一のミッドシップレイアウトとなるM1ですが、悲運の歴史を添えて語られるだけあって、希少車も希少車です。公道上で遭遇することはまずありません。各種イベントでも遭遇することがなく、あまりに縁遠いために町で見かける8シリーズがついついM1に見えてきてしまいます。
実は初めて
魔方陣スーパーカーミュージアムへ行ったときには、M1があることを知りませんでした。一通り撮影して満足して帰宅後、改めて整理しているとどうも魔方陣にはM1があったらしいと。そこで問い合わせてみると、バックヤードで整備中とのことでした。
数ヶ月後に何となくまた問い合わせてみると、まだ整備中で、また数ヶ月後、さらに数ヶ月後と問い合わせ、ついに整備完了とのことで
馳せ参じた次第です(しかも朝一番)。
M1ほどの希少車ですから、さぞかし他にも整備終了を待つ方々が問い合わせているのだろうと思いきや、どうやら定期的に何度も問い合わせをしていたのは私だけのようでした…!! 車離れの世情を垣間見た気分です。
さておき、いざ実物を見ると、
やっぱり本物は違うなあと思ってしまいます。
実車を見るまでは雑誌や映像でしか縁がなかったM1ですが、どこか不思議に感じていたのはその後ろ姿です。そして実車を見てもやはり不思議さの魅力が増しました。
自動車はちょっとしたアングル、高さを変えるだけで表情が違って感じられるものですが、このM1は特にその変化が楽しかったです。
例えば、このアングルだと
遠くへ吸い込まれていくような動きが感じられ、
ちょっとアングルを下げると
地を這う印象が増します(私の気のせいかもしれませんが)。
後ろから見ていると、止まっているのに動いていこうとする流れが感じられ、見ていて飽きません。ベストアングルが複数あって、結局どれがベストなのかわからなくなってきます。
また、後ろ姿といえば、後方視界と呼べるほどの視界が確保されているとは到底思えず、
むしろこの隙間から何が確認できているんだろうかという狭さですが、まぁお洒落は我慢です。万が一にもM1の後ろを走る僥倖に恵まれたなら、私の車は見えてないものとして慎重にウォッチングする所存です。
リアのエンブレムは
左と
右に二つという、私の知る限りBMWで唯一の配置となっていて、マフラーは
二本出しとなります。
また、雑誌や映像では気付いていなかったのが、ボディの境目です。
FRP(繊維強化プラスチック)のボディ外板は上下にわかれていますが、上と下との隙間の黒い箇所は全区間で均一ではなく、
フロント最先端部はほぼ閉じていて、
そこから均一区間へ道を付けるように開いていくデザイン処理がされていました。実車を見るまで意識できてなかったポイントがあったことに驚きつつもまた楽しく、興味深く鑑賞していました。
キドニーグリルは控えめに小さくなったせいで
逆に妙に存在感が増しており、ホイールは
他のBMWでは見たことがないようなデザインをしています。
そしてフロントエンジン車と違ってさほど整備性を要しないボンネットは、
ご厚意に
感謝至極!
M1のダッシュボードは
革張りの
レザーダッシュボードとなっていました。
センターコンソールも
革張りで、シフトノブも
ちょっと格好良い革張りとなっています。
左ハンドルMTという正統派な足元は
こんな感じになっています。
センターコンソールにあるボタンの色使いが
時代を感じさせますが、ボタンの押し間違いを排除するという点を考えれば、現在の車よりこちらのほうが本来は合理的なのでしょう。
そして、スピードメーターはマイル表示で
時速180マイル(時速289.62キロ)まで刻まれ、タコメーターはさすがの9000回転まで!
さて、中古車サイトの検索クエリーを多数お気に入りに登録し、二、三日に一度はそれらを一斉に開いて中古車相場をザッピング(というか鑑賞)している私ですが、M1はどこか別枠な存在だと思って検索対象外にしていたので、M1の相場が漠然とでもわかりませんでした。
そこで海外オークションの落札相場を調べてみると、直近では今年、2013年のドン・デイビス・コレクションというオークションで1980年製のM1が落札されていました。
シャシーナンバーはWBS59910004301360で、エンジンナンバーは387。落札価格は242,000ドルなので、1ドル100円として2400万円です。価格よりもエンジンナンバーという項目があるほうに驚きました。やはり中古車サイトにポンと出てくることはない一台です。
さんざん写真を撮ったにも関わらず、写真を見れば見るほどまた実車を見に足を運びたくなる、
そんなM1です。眼福!
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