駐車場というもう一つの会場
今回のニューイヤーミーティングについて、当初は「なにやら旧車が集まるらしい」、ただそれだけがきっかけとなって興味を惹かれたのですが、少し調べると駐車場もメイン会場と肩を並べるほど賑わうらしいことを知ります。どういう状況なのかがとっさに想像できませんでした。「駐車場もいわばメイン会場である」、そう称されるほどの駐車場とは一体どうなっているのでしょうか。
東京テレポート駅から歩いて行ったのですが、駅を一歩出るともう、
楽しそうな車が道路を埋め尽くしています。
もう手元で地図を確認せずとも、この車が向かう方に駐車場があり、この人の向かう先に会場がある、そうわかります。
そして遅々として動かない車を徒歩で追い越しながら途中で砂利の広場にたくさんの旧車を見たときには、「駐車場もいわばメイン会場」という予備知識をすっかり忘れ、本当にそこがニューイヤーミーティングの会場なのかと思ってしまいました。それほど賑わっていました。
挨拶を交わしたり和んでいる方々もいましたし。しばらく歩くと「ああ、これが」と駐車場だとわかりましたが、この駐車場の車も写真に収めて資料化しておかないと、そう感じるほどの濃さを感じました。
駐車場には駐車場の旧車カルチャー
会場で写真を撮りに撮ってから駐車場へと向かったのですが、足を踏み入れてみると会場とは少しまた趣が違っていて面白かったです。おかげで駐車場でバッテリー完全燃焼。
衝撃的だったのが、天を仰ぐマフラー!
これで急発進したらマフラーひん曲がるんじゃなかろうか、いやその前に雨が降ったら大変そう、いや何よりこれ、公道走れる? 保安基準は?次から次へと疑問が湧いてくるわけですが、そんなことはすべてヤボなのでしょう。
調べてみるとこのようなマフラーは「竹やりマフラー」と呼ばれているようでして、その世界では有名なおめかしのようです。ただ、左右四本出しマフラーでこれをやるとおそらくとてもくどくなりそうなので、片方に一本、二本の車でやるのがお洒落(?)として一番バランスが良いのかも。
この竹やりマフラーを見ていたときにはすでに感じていたのですが、駐車場を第二のメイン会場として楽しんでいる人たちからは「これを見に来た感」が溢れていました。確かにこのような竹やりマフラーをじっくり拝める機会など、成人式会場以外ではほとんどないことでしょう。
そして、駐車場には赤色灯を乗っけたパトカーもいました。
私でもこれはフェアレディZだとわかるほど有名な車種になるわけですが、この色、この感じ、どこかで見たことあります。で、調べてみると、嗚呼、西部警察!
パトカーはもう一台いたのですが、
こちらも調べてみると日産でした。車種はセドリックなのですが、さては…と思って検索すると、やはり西部警察。ここまでやるなんて根っからの西部警察ファンなのか、あるいは心底日産を愛する方々なのか、その辺を深くうかがい知ることはできません。ただ、駐車場でこのようなお披露目をするのですからエンタメ精神を心得ているには違いありません(たぶん)。
駐車場が第二のメイン会場になっている背景には、このような竹やりマフラーや西武警察オマージュ車両がメイン会場では受け付けられないという事情もあるのでしょう。だからかえって駐車場の車両がメイン会場には見られないメンツばかりで濃くなる一方となり、結果、駐車場には駐車場の旧車文化がみなぎることになっているのだと思われます。
もちろん、駐車場はあくまで駐車場ですから一般車両も普通に停まっていますし、旧車といってもメイン会場に入れないような旧車ばかりが停まっているわけでもありません。
たとえば、
マツダのポーターキャブ! この愛嬌あふれる顔つきが懐かしいですね、私も幼い頃には助手席に何度も乗っていました。田舎では普通に走っていた軽トラで、農家ご用達とも言える一台でした。
左右ヘッドライトの間、ナンバープレートの上にある口のような部分は内側からパカッと開けられる換気窓となっています。走行中にここを開けて足元から風が抜けてくるあの感覚、まだ覚えています。
ただ、オーナーの方が見当たらなかったので質問できませんでしたが、ポーターキャブが生活に溶け込んでいた地域でもこのポーターキャブのようなオレンジ系のボディカラーは見たことがないので、ひょっとするとこれは全塗装されているのかもしれません。もちろん、これほど立派なフロントスポイラーもありませんでした。
そして、後ろに回ってみると、
「TEAM 脳乱頭」と「ゆっくり走ろうノーランズ」の文字が確認できるので、脳乱頭は「のうらんず」と読むのでしょう。
また、駐車場では
マツダのコスモが三台並んでいましたが、これはもうただ駐車しているではなく、展示を意識しています。そして、駐車場内はそこかしこにこのような展示が自由になされており、これは確かに駐車場でしか味わえません。
旧車を深める場としての駐車場
一口に「旧車」といっても、駐車場を見るとその幅や奥行きの広がりにただ驚くばかりです。チケットを購入して足を運ぶ正規の会場だけを見ていたのでは、旧車の何たるかなどつかめないのかもしれません。
ニューイヤーミーティングへ行って駐車場を見ずに帰ってしまうのは非常にもったいない、そう感じた一日でした。そして来年もまたどんな想定外のギリギリ車両が登場するのか、今から実に楽しみです。
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