百花繚乱のタクシー
タクシーといえば、クラウンにセドリック。最近だとフーガやプリウスも目立ってきていて、都内だとこの四車種で九割は占めていそうな感じです。
そして、この寡占状態ゆえに、残りの一割ほどがほどよく目立ちます。
例えば、「あっ」と思うのがベンツのタクシー。これはSクラスの個人タクシーですが、
なんとなく、あーなるほど、です。
お客様は後部座席に身を委ねるわけですから、後部座席重視のSクラスでタクシーというのはおもてなしの選択肢としては理に適ってるのかなと。コストはさておきとして。
そして、光岡自動車のタクシーも目を引きます。
調べてみたところこれはガリューという車種で、光岡自動車のフラッグシップセダンのようです。
ただ、この車に関しては、ショーファードリブンだとか後部座席の乗り心地云々はどうでもいいのかなと。ミニチュアロールスロイス、ちょこっとロールスロイス、ちょっとだけスペシャルな外観、それがいいのでしょう。ほんのちょっと、スペシャルなデザインを味わいたい。そんなとき、光岡はお手頃な選択肢なんだと思います。
ここでじゃあ本家本元のロールスロイスで本格的にスペシャルに、というのはやはり非現実的。タクシーを気軽に利用する人が気軽にロールスロイスを利用するなんてことはないでしょうし、そもそもロールスロイスで「タクシー」というのは有形無形の制約に溢れてそうです。
最近つくづく思うに、超が付くほどの高級車はやはりどう転んでも超高級車です。量販車の世界に馴染み溶け込むのは土台無理な話。溶け込もうとしても必ず齟齬が生じます。
たとえば、庶民の車が集まるコインパーキングにロールスロイスが乗り込むと、
まるで幼稚園に無理矢理入れられた小学六年生のようです。
コインパーキングに車を停め、用事を済ませて戻ってきて隣にファントムが停まっていたらどんな気分になるでしょう。それを端的に示してくれているのが次の写真です。
ここ、いつもは満員御礼のコインパーキングですが、この時ばかりは局地的に空きスペースが目立っていました。ファントムが出るまでファントムの左スペースには誰も停めなかったに違いありません。
タクシーからヒュンダイを考察
さて、話は戻ってめずらし車両のタクシーですが、
日本でヒュンダイといえばわずかにタクシー車両、あるいは外交ナンバーの印象が強く、一般車両でもごくまれにコンパクトカーを見かける程度です。このコンパクトカーの
i30は日本で走っていると若干の無国籍っぽさも感じられます。
ヒュンダイについては日本でほとんど見かけずイメージが掴みづらいので、海外雑誌から学ぶのが手っ取り早いです。
そこで、図書館に行って英語版のCAR AND DRIVERをめくっていると、本年二月号に、レクサスのLS460とヒュンダイのエクウスが細かな項目ごとにスコアリング、比較されているのを発見。その冒頭のキャッチフレーズが次の通り。
“Hyundai faithfully clones Lexus’s iconic LS and offers it at a steep discount.”
「レクサスを代表するLSをヒュンダイが忠実にコピーして激安価格で提供」ということですが、”clone(クローン)”と表現されていたのが印象深いです。私が漠然とヒュンダイに抱いていた企業イメージは、この一文にそのまま凝縮されているように思います。
ただ、レクサスのLSを忠実にコピー、パクり尽くせるくらいですから、それなりの技術力はもう備わっているのでしょう。この特集でも各種項目の評点は合計199対189と、最終的にはヒュンダイに軍配が上がっていました。
人力タクシー
さて、その他の面白タクシーといえば、
ヴェロタクシーです。東京タワーなど観光地によくいる人力タクシーです。自転車タクシーとも呼ばれているようですが、後ろをよく見るとテールランプにウィンカーも完備! 自転車にもウィンカーやテールランプは必須だろうとつねづね考えていた私にとって、自転車ではないですがこの人力タクシーのライトには目を見張りました。
通常の自転車にもブレーキ連動のテールランプやウィンカーを義務づければ自転車が絡む事故も激減することでしょう(コストはさておき)。
そして、新東京タワーこと東京スカイツリーのお膝元では、
人力車です、下町風情もそのままに。
このヴェロタクシーは1997年にドイツで考案されたようで、日本への導入にあたっては道路交通法はもちろんのこと、公安委員会規則もパスしなければならないとのこと。
ただこの規則は各地域毎に異なっているようで、地域によってはまだ運行できないところもあるそうです。
確かに、初めてこのヴェロタクシーを見たときには、「何となく軽車両かな。ウィンカーやテールランプもあるし、どこまで求められてるんだろ」と道路交通法上の立ち位置がよくわかりませんでした。
でも、人力車については何も違和感を覚えません。見慣れすぎて贔屓目が入ってるからですが、仮に人力車が過去数十年にわたって実はずっと道交法違反な存在でした、なんて発覚したとしても、まぁ別に良いんじゃないの、くらいかなと。
今のご時世ですら、銀座に正確な住所、番地が存在しないエリアがあるように、文化色が濃いものはちょっとグレーゾーンな部分があるくらいがまた吉です。だがそれが良いというやつです。
はじめまして。
最近はあまり見かけないですがヒュンダイのタクシーは一時期よく梅田で見かけてました。
ガリューに関しては初代がクルー、二代目がセドリック、三代目がフーガあるいはカローラ、四代目がティアナをベースに製造されてますが写真のは見た感じでは初代っぽいのでそこのところもあるのかもしれませんが若干ネタ要素の起用でしょうね。光岡車を選択するっていうのはあまりいないので(それでも全国探せばそこそこいそうですが)。
ガリューだけでなくビュート等の他の光岡車のタクシーも観てみたいものです。
コメント&貴重な情報をありがとうございます!
ヒュンダイのタクシーは現在おそらく月に数回くらいは遭遇できていますが、光岡はほとんど見かけません。そしてこれまで遭遇した光岡のタクシーを振り返ってみると、全てガリューで全て白色でした。
ガリューはあの顔つきなので一般的なセダンっぽさが薄く、しかもそれでタクシーともなると愛嬌が増して面白いです。小っちゃな城!という感じで。
と、興味深く感じる私のような人間がいるので、仰る通りのネタ要素起用なのだと思います。光岡のタクシーは機会があったら乗ってみたいと考えているので、まさに思うツボとなってしまっています。
ちなみに先月新大阪駅からタクシーに乗る機会があったのですが、近距離専用乗り場があったので驚きました。他では見たことがありません。ちょうど私は近距離だったので助かりました、あの乗り分けは凄く良いです!
ただ、運転手さんに「近距離専用乗り場なんてあるんですね」と言ったら、「乗車拒否が多いんですよ、ワンメーター程度ならタクシーが諦めるだろうと、お金払おうとしない人がいるから、特に女の人」と。その後、目的地に到着するまでの間、不正乗車の実例をたくさん頂戴しました。
そのタクシーはクルーでしたが、例えば車種がガリューだったなら不正乗車遭遇率も変わってくるのかなと。不正乗車に遭う確率を車種ごとにはじき出したら面白そうですが、何となく光岡タクシーなら不払いは少なそうな気がします!