【富士の河口湖自動車博物館へ】

  1. 自動車博物館

一年のうちたった一ヶ月、8月にしか開館しないという河口湖自動車博物館に初めて行ってきました。

ZOOM!

ZOOM!

ZOOM!

去年も行こうと考えてはいたものの、まいっかと思ってやり過ごしてしまったら、今年からは、

デジカメ撮影すらも禁止となってしまいました。この調子だと来年はもうどのような撮影も禁止になりかねないので、今年は必ず行っておかねばと馳せ参じた次第です。

唯一撮影が許可された肝心の携帯カメラですが、iPhoneやアンドロイドでは心許なかったので、通常のコンデジくらいの設定は可能な携帯電話を探索。すると、

ソニーエリクソンのサイバーショット携帯(S006)というガラパゴス携帯に行き着くことに。

今回以外には何の用途もなさそうですが、ひとまず白ロムを購入して、

足を運びました。

館内はざっくりと年代順に展示されていまして、始めのほうでは、

プジョー・ベベなど、馬車の名残を感じさせてくれる時代の車が充実しています。この当時はまだ走れば良いという時代ですから、現代の基準を当てはめるならエンジンは非力。ようやく冷却のためのラジエーターグリルが誕生したという時代です。

自動車に関心を持ち始めてから街でこの時代の車に出くわすと、「あ、ルパンの車」と素早くひとくくりにしていたデザインなのですが、たとえばシトロエンのトラクシオン・アバン、

7CVと、同級生であるライレーの

ケストレルを見比べても、趣が全く異なっていることに気づきます。

エンジン付き自動車が生まれて冷却用のグリルも誕生。馬力上昇にともなってグリルも大型化し、泥よけのフェンダーはどこか装飾的に変化。ボディに覆われる面が徐々に増えて行き、フェンダーもライトもボディに組み込まれて一体化していこうとする流れの中で、各社いろいろと差異化の工夫を凝らしていたのだと思います。自動車の基礎が完成したと言われる時代ですから、駆動方式やサスペンションにギアボックス等々、さまざまな機構の誕生&発展の影響があったであろうことは明白なのですが、あれこれ言えるほど機構に詳しくないので、ぼんやり頭の中の想像だけにとどめて次に進みます。

ブガッティの

タイプ57は今も昔も広く使われることはなさそうな、ブガッティらしい青色に包まれています。後にブガッティ・ブルーという言葉も生まれたようで、この時代からすでに色にもアイデンティティが込められていたのでしょう。

MGは、

Mタイプ・ミジェットや、

TDなどで、いかにもMGというスタイリングを長く続けますが、

MGAになってヘッドライトをボディに組み込ませるデザインへと移行します。グリルからボンネットの傾斜角を見ると、空力の時代になっていることも伝わってきます。実際このMGAは多数のレースに積極的に参戦したようです。

そして、モーガンのスリーホイラー、

スーパースポーツを見ていると、モーガンは昔から我が道を行っているのだと安心してしまいます。スリーホイラー自体は1910年から40年以上も生産されており、時代にやすやすと流されない主義は創業当初から健在ですね。

BMWの、

502はエンジンにこだわるBMWらしくV8エンジン搭載のドイツ最速サルーンでしたが、それよりキドニーグリルとヘッドライト下のグリルの形状・配置が絶妙でたまりません。

そのお隣にはもはや定番中の定番とも言える、

メルセデス・ベンツ300SLが。絵になる車です。レースを目的に開発されているはずなのに、このやんごとなきデザイン。両立できてしまっています。工業製品化してない時代の自動車としては珍しくないことだったのでしょうか。何度見ても飽きることがありません。

さらにそのお隣には、ポルシェの

356が。フォルクスワーゲン・ビートルの名残がありますが、今のポルシェはここから始まっています。ここから始まった、そういうわかりやすい原点と途切れることのない確かな歴史がある車はそれだけでもう魅力に満ちています。

次に、館内に入って左手のスペースには、フェラーリの

330GT 2+2が。日本に初めて輸入されたフェラーリで、六本木の中国レストランのオーナーが乗っていたという説明書きが添えられていました。ただ、この説明を見ながらふと考えました。

清水草一氏の著書「フェラーリが見たニッポン」によると、日本に初めてやってきたフェラーリは1965年の250GTカブリオレ・ピニンファリーナで、そのオーナー佐藤氏のインタビューも載っています。厳密にはその少し前の第一回日本グランプリでピエール・デュメイ氏の乗る250GT SWBが持ち込まれていますが、それは別枠ということで。そして日本初のフェラーリオーナー佐藤氏の知り合いでもある式場壮吉氏のインタビューも載っており、250GTカブリオレ・ピニンファリーナの数ヶ月後に275GTBが輸入され、その後に330GT 2+2が入ってきたとのことです。この330GT 2+2が上記330GT 2+2のことだと推察されます。ちなみに式場氏はその次に日本に入ってきた日本4台目のフェラーリである330GTCを購入したようです。

さて話は戻りまして、オースチン・ヒーレーの

スプライトに、トライアンフの

TR3Aがまるで兄弟か姉妹のように並んでいます。二台とも最近の車ではあまり見ない色をしていますし、英国のオープン2シーター。ついついその後の巨大連合体を想像して同分類してしまいそうです。

そしてアルファロメオの、

ジュリア・スプリント・スペチアーレは、空力も艶やかさも兼ね備えた姿をしています。車に全く詳しくない人に対して、このスペチアーレのようなデザインを伝えるにはどういう言葉を選べば良いのか、想像するだけで悩んでしまいます。何となく、凹凸の凸ではなくて凹で攻めてるデザイン…?

さらに、スーパーカーブームの主役でもある

ランボルギーニのカウンタックが鎮座しつつも、その主役を差し置いて館内の最後のオオトリ、〆の一台が、

チゼータのV16Tでした。その名の通りのV型16気筒エンジン搭載車です。受注開始後にチゼータ社が一度倒産したこともあって、最終的には15台が生産されたのみとなっています。しかし、時代の徒花となったことでかえって何とも言えない存在感を漂わせています。

館内には上記以外にも多くの名車が展示されていました。河口湖自動車博物館に限った話ではないですが、普段出会うことのない車を目の当たりにしていると、美術館に行ったときのように脳の使われてない部分が心地よく刺激されます。車に興味がなくて知識がゼロでも、足を運んでおきたい場所に思えます。色んな用事にかこつけての博物館巡り、やめられません。

レクサスも頭金ゼロで乗る時代。
もちろん新型アルファードだって頭金ゼロ。
あの人の車も、頭金ゼロかも【トヨタ公式】

新時代の車の楽しみ方へ

コメント

  1. 感謝!とても参考になりました。8月にこの博物館に行こうと検討していたので助かりました。写真撮影もご苦労されたようで、大変でしたね。とても綺麗に撮れていて、しかも解説が分かり易いです。私はチゼータのファンなので今から楽しみです。
     最近始めたブログで、4座オープンの事など話題にしておりますので、お手すきの時にでも遊びに来てください。

    • ultimative
    • 2013年 7月 25日

    ありがとうございます!

    チゼータは後ろ姿しか見えないような向きで公開された年もあったようなので、今年もこっち向いていることを一緒にお祈り申し上げます!

    そしてブログもおおーっ!と思いつつ読ませていただきました。オープンカーの酸いも甘いも書かれているのに、読めば読むほどオープンカーに惹かれます。

    私は今のクルマが初愛車なので現状SUVだけのクルマ人生です。オープンカーの世界観には縁遠いクルマ人生なので、「オープンカーと道のり」の記事は特に「ああ、いいなぁ…」と三度読みほどさせていただきました。

    そもそも屋根が開くクルマはすべて「オープンカー」とひとくくりにしていたほど縁が無かったので、2座オープンと4座オープンという区切りにまず目がウロコでした…^_^;

    それにしても、スト2…凄いです!

  2.  こんにちは。見て頂いてありがとうございました!初心者なので、まだ手探りでして、でも楽しみながらのんびりやっています。
     ultimativeさんのブログはとても楽しいですが、ひょっとして小説家とか物書きさんでしょうか?
     文章の組み立てとかしっかりしているなぁと感心します。ブログ作りの参考にさせていただきます。
     

    • ultimative
    • 2013年 8月 04日

    いえいえ滅相もない!(びっくりしました)

    私は数年前まで全くといって良いくらい車に無知だったので、そのぶん当初から開き直って自由にのびのびと(つまり無責任に)しかも軽いノリで書いており、身に余るお褒めの言葉に恐縮です。書きたいことを全部盛りで投稿し、「はースッキリした!」の繰り返しでして…。

    私のほうこそ、私なんかよりはるかに地に足がつきつつも、ほんわかしたしろべーさんの文章を楽しませてもらっています!

  1. この記事へのトラックバックはありません。